読み聞かせで伸びること
1971年12月、ニュージーランドのある町に1人の少女が生まれました。
名前はクシュラ。彼女は生まれたときから「染色体異常」という重い病気にかかっており、指の奇形、関節の異常、心臓・腎臓機能の欠陥、脳の深刻な障害が見つかり、視覚・聴覚が弱く、知能にも異常が認められました。
両親は懸命に治療法を探し続けましたが、クシュラの未来に光明を投げかけるものを見つけることが出来ず、むずかる娘を両親は抱きしめるしかありませんでした。
生後4か月の時、せっぱ詰まった気持ちで母親が絵本を見せると今まで焦点が定まらなかったクシュラの目が絵本にじっと集中し、読み聞かせてみると全身を使っていきいきと反応し始めたのです。
それ以来、毎日休むことなく絵本を読み聞かせ、クシュラは絵本を通して、世界と様々なことを吸収できるようになったのです。
約3年後、クシュラは言語能力が発達し、知力も標準以上と判定されるまでに成長しました。3年間に彼女が出会った絵本は140冊。1冊1冊との交流が彼女の心を開き、世界への通路を作り上げたのです。「クシュラの奇跡 140冊の絵本との出会い」として出版。
絵本がクシュラの知能の発達に及ぼした影響は計りしれません。それ以上に彼女は生きる力を絵本から得たのです。「クシュラの奇跡」の著者 ドロシー・バトラーさんは「障害があろうとなかろうと、すべての子どもの発達に本が必要だ。」と言ってます。絵本は子どもの心理状態に大きな影響を与えます。どれだけ良い絵本に出会ったかで、その後の人生が変わってくるといっても過言ではありません。
そして、大好きなお母さんやお父さんの声に包まれ、感動を共有しながら、心の底から絵本の世界を楽しむことは、子どもにとって最上の時間です。
また、言葉の獲得には、耳で聞いて覚える言葉(音声言語)と目で見て覚える言葉(視覚言語)が必要です。乳幼児期は耳からはいってくる音声言語の時期なので、多くの声かけが必要です。読み聞かせを通じて声を聞きながら物語を想像し、さらに絵を見てその理解を深めていきます。それは「勉強」や「おけいこ」ではなく自然に心の底から楽しみながら身についていくものです。
テレビやビデオの音声は一方的なもので、そこに子どもたちとのコミュニケーションは存在しません。読み聞かせには聞き手の反応、読み手の反応に応じたコミュニケーションが存在します。読み聞かせによって獲得した言葉はテレビやビデオにとって獲得した言葉よりも豊かであり、大きな力をもっています。
想像力の成長
IMGINATION
「人の話を聞いて、その内容を理解する力」「文章を読んでその内容を理解する力」つまり、想像力や考える力(思考力)が育っていない子どもが増えているのです。
心と心のつながり
APPOVAL
子どもは読み聞かせが大好きです。
絵本の内容が楽しいからということとともに、自分の大好きなお母さんやお父さんが自分のためだけに愛情を込めた優しく読んでくれるから大好きなのです。